経営環境や事業環境の悪化に伴い、労働条件を労働者にとって不利益な方向に変更する「不利益変更」を検討しなければいけない場面になる場合は少なくありません。
しかし、不利益変更はしっかり手順を踏んで行わないと後でトラブルになる可能性が非常に高くなります。
本記事では、労働条件の不利益変更についてトラブルにならないためのポイントなどについて解説します。
不利益変更について
労働条件の不利益変更とは、賃金や労働時間、休暇などの労働条件を従業員に不利益な方向で変更することをいいます。
例えば、基本給、手当、退職金の減額や定期昇給の停止といったものが、賃金に関する不利益変更の具体例として挙げられます。
上記の他にも、休日に関する不利益変更の具体例として、年間の所定休日を減らすことや、特別休暇を減らすことなどが挙げられます。
労働条件を不利益変更するための5つの方法
- ① 従業員ごとに個別に同意を得る方法
- ② 就業規則を変更する方法
- ③ 労働組合との間で労使協約を締結する方法
- ④ 人事考課に基づく給与の引き下げる方法
- ⑤ 降格に伴い給与を引き下げる方法
このように不利益変更の方法には5つが挙げられますが、原則として労働条件の不利益変更には従業員の個別の同意が必要となります。
こうした個別の同意を得ずに、例えば就業規則の変更などにより労働条件の不利益変更を行うことは認められていないので注意が必要となります。
同意を得る際の注意点
では、労働者から同意を得る場合にはどういった点に注意すべきでしょうか。
不利益変更の同意は口頭ではなく書面が必要
不利益変更にあたっては労働者の個別の同意が必要ですが、この同意は書面である必要があります。
口頭での同意があったと後に裁判で主張してもほとんど認められることはありません。
同意書を取る際の注意点
同意書を取る際には労働者に十分説明を行った上で取り付ける必要があります。
同意書を書面で取得していても、労働者の自由な意思に基づくものではないとして効力を否定する裁判例が多く見られる点には注意が必要です。
労務管理に関することは、弁護士 武田 大輔(武田法律事務所)にご相談ください
労働条件の不利益変更は労働者の同意を得て行うのが原則ですが、同意の取り方次第では同意が無効とされる可能性もあります。
労働条件の不利益変更でお悩みの方は、お気軽に弁護士 武田 大輔(武田法律事務所)へご相談ください。